竜王様のお気に入り
ヤヨイをソファーに座るように誘導しながら、ハクリュウはこの後の、自分達の動き出しを考えていた。


コウリュウの協力を得られない今となっては、自分の能力で人間界に向かわなくてはならない。


さて、どうしたものか。


ハクリュウはヤヨイにほだされて、コウリュウに話をするタイミングを、間違えた事を悔やんだ。


何よりコウリュウが、シリュウを引っ張り出してきた事が、大誤算であった。


シリュウは自分に邪魔な者、目障りな者は必ず排除する。


そんな女だ。


コハクの一件で、十分にハクリュウはその事を知っていた。


『まったく・・・。
先代の竜王といい、シリュウといい、この天界にはロクな者がいない。
迂闊に心を開こうものなら、あっという間に言葉巧みに取り込まれてしまう。』


自分の立場を悪用されない為にも、ハクリュウは誰に対しても、常に竜王でいなければならなかったのだ。

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