竜王様のお気に入り
計略
王宮の広いエントランスでイオリは、覇気なく無意識にとぼとぼと歩いてくるシリュウに遭遇した。


話しかけるのも躊躇われるほどに、シリュウは打ちひしがれているように見える。


気は進まないが、放っておく訳にもいかずイオリは声をかけてみた。


「・・・。イオリ・・・!
竜王陛下はあたくしを、王妃に迎えるのではなかったの?
一体これはどういう事!?」


突然噛み付くように詰め寄られて、イオリは訳が分からない。


「シリュウ様。
申し訳ありませんが、落ち着いて下さい。」


「落ち着いてなんか、いられるもんですか!
竜王陛下は烈火の如くお怒りになって、あたくしに酷い言葉を浴びせたのよ!
しかも、隣に人間がいたわ!
どういう事なの!?」


「あなた、竜王陛下のお部屋に入ったのですね?」


しかも許可なしに・・・。


イオリは全てを想像できた。

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