竜王様のお気に入り
「俺も何も必要ない。
何も望まない。
ヤヨイさえ居てくれたら、俺はそれで満たされる。」


「同じ気持ちだね、私達・・・。」


ヤヨイはハクリュウの腕の中で身じろいだ。


甘く流れる旋律に、二人は心地よく身を任せ、このひと時を味わった。


---。


そんな二人とは対照的に、居心地のよくない二人もいた。



自室のソファーに座り、コウリュウはイオリが運んできたお茶を口に含んだ。


芳醇な薫りが、落ち着きを取り戻す手助けをする。


全くの無表情でイオリは一礼し、コウリュウの前から早々に立ち去ろうとした。


「行くな。」


コウリュウは、イオリを呼び止めた。

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