竜王様のお気に入り
課題は山積みだ。


何せ竜王が交代するのだから。


何から手を付けていいのやら、皆目見当もつかない。


それを言い出した当の本人は、全てを弟に丸投げにして
『善きに計らえ』
と、この件に携わる気はないらしい。


コウリュウは膝の上で、しなやかな長い指を組んでため息をついた。


いくら優秀だとおだてられようと、先を考えると憂鬱にもなる。


シリュウの事。
巫女達の事。
退任と即位の儀式。
民達への通達。
これからの天界の治め方。


挙げればきりがない・・・。


「コウリュウ様。
お一人で抱え込まないで下さい。
微力ながら、私もおります。」


涙を乾かしたイオリは、ため息を漏らしたコウリュウへ、控え目に声をかけた。

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