竜王様のお気に入り
あの竜王陛下が、臣下に向かって冗談…?


イオリは、頭の中の引き出しを探ってみたが、対処の仕方が分からない。


「へ…陛下がご冗談とは。
お珍しいですね。」


そう答えるのが、精一杯であった。


「そうか?」


端整な顔で、今や柔和な面立ちをした若き竜王は、僅かに首を傾けた。


「はい。ヤヨイ様のお力は偉大でいらっしゃいます。
私は心より、お二人の幸せを願っております」


イオリは、用件に自分の感想を付け加え、いい仕事ができたという表情で、竜王陛下の部屋を後にした。


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