竜王様のお気に入り
ふふっと、琥珀色の瞳を細めてヤヨイは笑う。


きっと、何を言ってもハクリュウは、考えを変えないだろう。


竜王として、ずっと守ってきた天界の事よりも、ヤヨイと共に有ることを、ハクリュウは優先したいのだ。


ヤヨイはハクリュウの首に手を回し、そっと耳元で囁いた。


「分かった、私、もう悩まない。
大好きだよ、ハクリュウ。
ずっと一緒にいようね。」


竜王であることを投げ打ってまで、自分を必要としてくれたハクリュウ。


ヤヨイといると、安らいで寛げる、素の自分に戻れると、言ってくれたハクリュウ。


始まりは、姉の代わりに天界へ連れてこられた事だった。


もしかして、この時から決まっていたのかもしれない。
こうなる運命が…。


天界の流れにして、ほんの数ヶ月。


ヤヨイはハクリュウの、優しさ故の孤独を知り、側にいて支えてあげたい、そして愛したいと思うまでになっていた。


こっそりと思い悩んではみたものの、今更離れるなんて、そんなガマンは、できそうにない。


今やヤヨイにとってもハクリュウは、なくてはならない存在になっているのだから。

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