竜王様のお気に入り

ソファーに座り寛いでいたハクリュウは、咄嗟にヤヨイを自分の背中越しに隠した。


何事が起こったのか分からずに、ハクリュウは開け放たれた扉を睨む。


そして、入って来たのがシリュウだと分かると、みるみるハクリュウの秀麗な顔は、怒りの形相に変わっていく。


「貴様…！」


ハクリュウの白銀の髪が逆立ち、体から真珠色の光が立ち上る。


例え真相を確かめるための訪問だったとしても、同じ失敗を繰り返したシリュウが、許されるはずはなかった。


遅ればせながら兄の部屋に到着したコウリュウの全身に、風が吹き付ける。


ハクリュウの部屋の中は、嵐のように風が吹き荒れていた。