竜王様のお気に入り
「ハクリュウゥゥ!」


ヤヨイは、声の限りにハクリュウを呼んだ。


ハクリュウが、竜王様の姿になって、どこかに行ってしまう。


善からぬ不安が胸を過り、ヤヨイは無意識にハクリュウの名を呼んだのだ。


舞い上がる風に吹き飛ばされそうになるのを、ベッドに掴まって、必死に堪えながら。


一瞬、ハクリュウの歩みが止まった。


ヤヨイの声が届いたようだ。


怒りに任せてハクリュウは、本来の龍の姿に戻ってしまいそうになっていた。


「兄上!!」



コウリュウも叫ぶ。


身の危険を感じたシリュウは、僅かに緩んだハクリュウの動きを敏感に察知して、この隙に逃げ出そうと目論んだ。


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