竜王様のお気に入り
キサラギは、品のいい笑い声をたてた。


「つい、天に昇る竜王様にお声をかけてしまったの。
何か誤解をさせてしまったのなら、ごめんなさいね。」


堂々と出任せを言って、キサラギはまた歩き出す。

豪奢なお伴を引き連れて。


「迷惑かけちゃうね」


歩き始めて直にヤヨイはキサラギに謝ったが、キサラギはちっとも気にしている様子は見られない。


「俺は迷惑なんてかけてないからね！
それよりさ、さっきから腹が鳴るのは何でなの？
生気は足りてる感じなんだけど、満たされてないんだよ。
これは何なんだ？」


不思議そうにハクリュウは自分の腹をクルクルと撫でた。

衣装の上からでも分かる。

無駄な脂肪が付いていない、引き締まった、たくましい腹だった。

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