竜王様のお気に入り
ヤヨイに抱くハクリュウの感情は、未だかつてなかったものだ。


生け贄台に横たわる美しく従順な巫女よりも、隣で巫女に笑顔を向ける朗らかな娘の方に、ハクリュウは興味をそそられた。


食事としての興味ではない。


自分の隣に座る者としての興味。


そしてハクリュウは、思うままに行動した。


手の中に掴み取ったのは、巫女ではなく、隣に居たヤヨイ。


そしてそのヤヨイを、食堂へ一人閉じ込めるのではなく、自室へ連れて行きベットに一緒に横になった。


目覚めるまで、穴が空くほどヤヨイを見つめ、くつろぐ。


ハクリュウに、こんな満ち足りた時間は初めてだった。


あの忌まわしい、天界統一の日を境に・・・。

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