竜王様のお気に入り
コウリュウは、無意識にベットの方に視線を投げた。


琥珀色の瞳を持つ生け贄。


大切な俺だけの、琥珀色の瞳・・・。


叶うなら、己のモノにしてしまいたい。


古の想いが、コウリュウの本能を動かしてしまいそうだった。


「要らぬ興味を持つでない。」


コウリュウの視線を、不快に思ったハクリュがに浴びせた言葉は、見えない針でも含んでいるかのように痛い。


「・・・・・。」


瞬時にコウリュウは、返事が出来なかった。


ハクリュウはベットより下りてからずっと、豪奢な真珠色の椅子に足を組んで座っている。


手には床から拾い上げた、あのカーテンドレスがあった。


優雅に見えるが、隙は全くない。


コウリュウにとって兄は、常に冷酷な竜王陛下であった。

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