竜王様のお気に入り
「竜王様はいつ、いらっしゃいますか?」


竜王の食事の相手をして、酔いしれる体の感覚を覚えたアンジェは、竜王に焦がれていた。


アンジェがこの部屋を使うようになってから、どれくらい経っただろう。


今も贄としてやって来た時の、あの頃の姿のままである。


竜王に食されて、ほんの少しだけ大人びたか。


天界での時の流れはかなり緩やかで、人間界での時系列とはあきらかに違う。


天界での1日の感覚は、人間界での何日分にも相当すると思われる。


何せ天界は、昼夜さえ曖昧なのだから。

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今までの巫女達は皆、どことなく似た容貌と雰囲気を持っていた。


サツキもそうであったように、黒髪の美女で、物静かで、従順だ。


アンジェもやはり例外ではなく、正に生け贄に相応しい巫女である。

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