竜王様のお気に入り
コウリュウは遠目に見た、ヤヨイの姿を思い返してみる。


そしてアンジェを見て、改めてそう思う。


少し茶色く波打つ髪といい、ヤヨイは今までに貢がれた巫女達とは、明らかに異なる容貌だった。


何よりコウリュウが気に入らないのは、ヤヨイの琥珀色の瞳。


アンジェや代々の巫女達を黒真珠に例えるなら、ヤヨイは琥珀に例えられるだろう。


透明感のある、明るくも気高い趣をまとう宝石。


そんな印象をコウリュウは感じた。


琥珀―コハク―


その響きに、コウリュウは胸を締め付けられる思いである。


『兄上はヤヨイに、コハクを重ねているのだろうか』


ふと、そんな思いが頭をよぎり、コウリュウはやるせない気持ちになった。

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