竜王様のお気に入り
「嫌です!嫌です!
そんな・・・もう竜王様にお会いできないなんて。
ここに置いて下さい。
人間界へは帰りません。
竜王様を待ちます!
私は竜王様を、心よりお慕い申しているのです。
そんな無体な事、聞きたくありません。」


『やはり、同じ事を言うのだな』


予想はしていたもののコウリュウは、少し呆れた。


そして、溜め息混じりにコウリュウは言い捨てる。


「分かった。
後でイオリという小間使いをよこす。
指示に従え。」


竜王陛下を求め、再び来てくれるのを待つという。


この先竜王がアンジェの元に来る事は、絶対にあり得ないのに。


ましてや今回の巫女へは、異例の高待遇ときているのだ。


代々巫女達が人間界へ戻って来なかったのには、こういう裏事情があったのだった。
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