竜王様のお気に入り
サツキは思わずにいられなかった。


『あと10年、天候が安定していたら・・・。
私が貢ぎ物になる事は、なかったんだろうか?』

と。


サツキは慌てて頭を振る。


こんな事を考えた、自分を恥じた。


・・・そう、これは名誉な事。


巫女である私が不安な様子を見せたら、家族に迷惑がかかってしまう。


潔く、竜王様に召されよう。


「ヤヨイ・・・。キサラギ・・・。」


サツキは決意した凛々しい表情で、妹達に微笑む。


そして、そっと呟いた。


「近いうちにお別れね」

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