竜王様のお気に入り
ヤヨイは静かに顔を上げて、遠慮がちに二人に声をかけてみる。


「あの・・・。」


二人の視線を受けて、ヤヨイは息を飲んだ。


「私そんな重要な話だったなんて思わなくて。
姉様が・・・巫女が、何で生け贄にならなきゃいけなかったのかを、聞きたかっただけなんです。
コウリュウさん、ごめんなさい。
お話はもう、結構ですから。
ハクリュ・・・。
竜王様にも失礼な態度をとってしまって、申し訳ありませんでした。」


本当に申し訳なさそうにヤヨイは、頭を下げた。


ハクリュウは小さく笑う。


「ヤヨイがそんな風に思う必要はない。
我には今まで通りに接してくれればいい。」

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