竜王様のお気に入り
だが正直、速答もできずにいる。


数秒の沈黙の後、ゆっくりと一つコウリュウは息を吐いた。


「イオリを・・・。
竜王陛下のお部屋に呼べば、よろしいのでしょうか?」


コウリュウは無表情で答える。


「いや。
我の部屋に、ヤヨイ以外の女を入れる気はない。
部屋は適当に用意して構わない。」


「かしこまりました。
用意ができましたら、お呼び致します。」


コウリュウは本来の目的である明日の儀式の事を、すっかり頭の角に追いやられてしまった。


颯爽と部屋を後にしたコウリュウを、ヤヨイは申し訳なさそうに見送るのであった。

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