竜王様のお気に入り
ハクリュウは、突然話題を変えたヤヨイを、逃がしはしなかった。


自分の膝の上に乗せているヤヨイを、ふわりと抱きしめ、話の続きを再開したのだ。


「イオリの話は後でな。
それより今の俺の言葉、ちゃんと聞いてた?
俺、ここでヤヨイとずっと一緒に過ごしたい。
食べたいっていうより、こんな風に抱きしめたい。
ヤヨイの事は何があっても、絶対に俺が守るから。」


ハクリュウは精一杯の想いを、ヤヨイにぶつけた。


頬はまだ紅らんでいるが、漆黒の瞳は真っ直ぐにヤヨイに向いている。


誤魔化せないと観念したヤヨイは、竜王様の告白に向き合う事にした。


照れくさいとか、恥ずかしいとかは、もう、言っていられない。


「ありがとう、でも・・・。
私って、一応は生け贄の立場な訳でしょう?
食堂へ行かなくていいの?
生け贄にこんな風に接したら、だめだよ。
今までの巫女様達にも、申し訳ない。
コウリュウさんだって、あんな態度になるよ。」

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