竜王様のお気に入り
ハクリュウは、ヤヨイを抱きしめる手に、力を込めた。


「そんな事、言うな。」


ヤヨイの耳元で囁くように呟く。


「お前を生け贄だなんて思っていないし、誰にも分け与えるつもりもない。
ヤヨイは、俺の隣で俺と共に暮らすんだ。」


ハクリュウは軽く触れるように、ヤヨイに口づけた。


ヤヨイは、ただただ恥ずかしくて、直ぐに顔を背けてしまう。


「あ・・・会ったばかりなのに、そんな風に思ってもらえるなんて。
やっぱり、すぐには、信じられないよ。」


ヤヨイは口ごもりながら、思ったままを口にした。


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