竜王様のお気に入り
ハクリュウは何か言ってやろうと口を開きかけたのだが、上手い言葉が見つからず、ヤヨイの頭に大きな手を乗せて、優しく撫でるにとどまった。



静かな心地よい沈黙が流れる。



「抱いてもいいか?」


「食べるのではなくて?」


「お前の甘い温もりを感じたい。
お前にもっと、触れていたい。」


ハクリュウは膝の上で自分に身を委ねているヤヨイを、そのまま軽々と抱き上げて、そっとベットに下ろした。


壊れ物を扱うかのように。


そして自分も、ヤヨイの隣に横になる。

< 87 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop