竜王様のお気に入り
ヤヨイはサツキの気持ちを思うと、どんな言葉をかけていいか分からない。


ただ、こうだったらいいなを最後の言葉にしようと決めた。


「姉様。大丈夫よ！
竜王様はきっと、姉様を大事にしてくれるわ。
生け贄とは名ばかりよ。
天界で竜王様と幸せな生活が待っているはずだわ。
絶対！」


「ありがとう。ヤヨイ。」


サツキはにっこりと微笑んだ。


ヤヨイの隣で、きょとんとしながら立っていたキサラギだったのだが。


幼いながらも、キサラギにはこのヤヨイの言葉が印象的で、サツキ姉様は竜王様と幸せになるんだと、頭にしっかり焼きついた。


「いつまでもこうして居たいが、そろそろ村人たちが、痺れを切らしている頃だ。
･･･行こう。」


父も母も、心が壊れてしまいそうな気持ちを必死に抑えて、サツキを促した。

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