竜王様のお気に入り
どれくらい待っていたのか。


イオリはその間ずっと瞼を閉じていた。


コウリュウ程深い紅ではないが、イオリもまた赤茶色の髪をしていた。


真面目そうなその見た目は髪の色こそ黒ではないが、日本人形を思わせる。




―イオリは冷たい風を気配で感じて、背筋が伸びた。


瞼を開いて扉を見る。


扉は勢いよく開かれて、背の高い雄々しく威厳に満ちた龍族の長が現れた。


イオリは慌てて、ひれ伏した。

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