竜王様のお気に入り
今頃竜王陛下が行なっているであろう儀式も、そんな重要な意味を持つ。


竜王陛下の所有する巫女の生気を分け与えてもらう事で、天界の住人は竜王陛下と共にあり忠誠を尽くし統率が取れるのだ。


アンジェも所有する巫女ではあるが、新しく生け贄はやって来た。


『我々は新しい竜王の所有物を、分け与えてはもらえないのか・・・?』


こんな住人達の勘繰りの声は、イオリの耳にも届き、天界中に不満が募らなければよいが、と、イオリは懸念する。


イオリはしばらくその場で、ヤヨイを観察していたが、静かな口調で声をかけてみた。


「イオリと申します。
竜王陛下の命により、ヤヨイ様のお側に参りました。
何なりとお言い付け下さいませ。」

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