竜王様のお気に入り
案内された部屋の扉を開けると、その部屋は透明感のある澄んだ琥珀色で統一されていた。


柔らかに透き通る、琥珀色の光に包まれて、優しい面持ちを持つ部屋だ。


ハクリュウとコウリュウを見たヤヨイには、ここが何処だか言われなくても分かった。


「コハクさんのお部屋ですね?」


「その通りでございます。」


「何故、ここを?」


「・・・・・・。」


イオリは答えない。


実は、この部屋を指示したのはコウリュウだった。


コウリュウの胸の内は複雑な心境なのだろうと、イオリは手に取るように理解できるのだ。


ヤヨイにとっては、ハクリュウに聞いたばかりの、コハクという妹の存在。


でも、本当にハクリュウが言うように、単なる妹というだけなんだろうか。


ヤヨイは何故だか、それだけではないような、そんな気がしてならない。


ヤヨイは予感めいた、不安な気持ちを抱えて、部屋へと入った。

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