涙なあたしと笑顔なあなた
「ね、ねぇ、瑞希くん」
「ん?」
授業が始まる前に春ちゃんに話しかけられた。
「あの、えっと、あたしまだ教科書無くて・・見せてもらえたらなぁ・・なんて」
目の前であたふたと話す春ちゃん。
「おう。ってか、どこで買うか知ってんの?」
「あー、いや、後で先生に聞こうかと・・・」
知らないのか・・・
ちょっとチャンスかもしんねぇ・・・
「今度の土曜日とか暇だったら、一緒に行ってやろうか?」
ちょっとふざけてデートとか取りつけてみた俺
「・・・・・・」
と、無言の春ちゃん。
イキナリ馴れ馴れし過ぎたか・・・
「いや、嫌だったらいいんだけど・・」
「あ、え?あ、違う!ありがとう、今度の土曜日ね!お願いします!」
ぼーっとしてたかと思うと、突然笑顔になる。
「よくわかんねぇ奴・・・」