涙なあたしと笑顔なあなた
彼氏
side 春
あたしは藤村君にメールして、放課後に会った。
「藤村君、あたしのこと・・・彼女にしてくれないかな」
やけになって変な事言ってるって分かってたけど、もうどうにでもなれって感じだった。
「瑞希となんかあったの?」
藤村君はあたしの腫れた眼を見つめる。
「なんにもない。好きじゃない」
ばればれの嘘だけど。
"好きじゃない"とか、自分に言い聞かせてる。
「・・・そっか」
藤村君は全部悟ったみたいに笑顔になった。
「よろしくな」
あたしの頭を撫でる藤村君の手。
あたしは今からこの人に恋をするんだ。
全部わかってるのに彼氏になってくれた藤村君。
「ゆっくりでもいいよ。俺の事もし好きになってくれたら言って」
どこまでも優しい。
「・・ありがと・・・」