涙なあたしと笑顔なあなた

彼氏


side 春


あたしは藤村君にメールして、放課後に会った。



「藤村君、あたしのこと・・・彼女にしてくれないかな」

やけになって変な事言ってるって分かってたけど、もうどうにでもなれって感じだった。

「瑞希となんかあったの?」

藤村君はあたしの腫れた眼を見つめる。




「なんにもない。好きじゃない」

ばればれの嘘だけど。

"好きじゃない"とか、自分に言い聞かせてる。

「・・・そっか」

藤村君は全部悟ったみたいに笑顔になった。

「よろしくな」

あたしの頭を撫でる藤村君の手。



あたしは今からこの人に恋をするんだ。

全部わかってるのに彼氏になってくれた藤村君。



「ゆっくりでもいいよ。俺の事もし好きになってくれたら言って」



どこまでも優しい。

「・・ありがと・・・」






< 46 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop