アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
1ヶ月ほどでぷう太の足も完治して、みんな元気に走り回っている。

友樹とも今まで通り体を重ねる。

「大好きよ。愛してる」

ウソじゃないよ。
これも愛なのだと思うから。

こうやって何事もなく過ごしていけたらいい。

夏が終わって、秋になって。
そして、また冬がくる。




✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼



12月に入ると急に冷え込むようになった。
空の色が変わり、空気が張り詰める。

コートを出そうと思ってクローゼットを開けた。
あの時着ていたコートやワンピースが奥にある。

冬の匂いがする。

心の奥底で何かが揺れる。
慌ててクローゼットを閉じて、深呼吸した。

この空気のせいだ。
私の生まれた、大好きな季節。
でも今は早く過ぎて欲しいと願う。



「今日は多分、仕事入らないと思う」

友樹は仕事が忙しいらしく、遅くなったり泊まり込むことが増えていた。

「じゃあ夕飯用意しとくね」

友樹を見送って、カレンダーを眺めた。
あれから半年近く経つ。
もう半年なのか、まだ半年なのかわからない。
1日が終わる度に、何も起こらなかったことに感謝する日々だった。

シチューを作って、パンを焼いて夕食の準備を終え、ぷう太たちにもご飯を食べさせる。
薄暗くなってきたのでカーテンを閉めようとして外を見ると、白いものがひらひら舞っていた。

初雪だ。

「積もるかなぁ……」

景色が全て白く染まる、真っ白な世界。
私の心も真っ白に染めてくれるかな。

ぷう太とモモは寒がってこたつから出てこない。
夏生まれの2匹はベランダで遊んでる。
  
そろそろ友樹が帰ってくる頃なのでシチューを温めようとした時、チャイムがなった。

「宅急便です」

(友樹かな?)

また何か買ったのかなと思いながら解錠ボタンを押した。
数分待っているともう一度チャイムが鳴る。
玄関に向かい、ドアを開けた。
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