アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
ほら、と指差した先にタワーが見えた。
さっきまでクリスマスツリーだったはずなのに。
ピンク色に変わっていく。

???

「世良がね。お祝いだって」

見せられたスマホの画面には、2人でタワーを見るようにと時間を指定されていて、ちょうどその時だった。

夜景をバックにピンク色のタワーがキラキラ輝いている。
しばらくするとハートが浮かんできて、どんどん増えていく。
たくさんのハートと大きなLOVEの文字。

「こんな…の」

タワーがピンク色からクリスマスツリーに戻っていく。

「反則です」

すっかり涙もろくなってしまって、ポロポロこぼれる涙を拭いていると、三神さんのスマホにメッセージが届いた。

『ちゃんと見たか?
 さすがのお前も感動したろ?

 ♡沙理ちゃん、今度デートしようね♡』

「これは無視」

デートの文字を指して三神さんは首を振る。
「あいつ、ホントこれさえなきゃいい奴なのに」と言いながらすごく嬉しそう。

「明日から忙しくなるよ」

することが山のようにあるからと肩をすくめた後、私を抱き寄せる。

「でも、今夜は。

 他のことは何も考えないで。
 俺だけをみて」


三神さんは、私を見つめて唇を動かした。

たくさんの作品で様々なキャラが口にする言葉を。
今まで数えきれないほど見聞きした台詞を。
最高に素敵な声で告げられる。


「世界で1番、君を愛してる」


この瞬間を永遠に忘れないと心に刻む。

心から愛する人の、ありのままの声を。 



ー◇ー◇ー◇ー◇ー


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