アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】

「あ、あの」

「ん?」

目が合った途端、真っ白になった。
何か言わなきゃと焦る。

「う、打ち上げとか行かれないんですか?」

ああ、と三神さんは笑って言った。

「みんな年だから後日ゆっくりやるんだよ」

「そうなんですか」

ってか、なんでここにいるの?
東京に住んでるんだよね?

優雅に紅茶を飲んでいる三神さんが目の前にいる。
現実感がなさ過ぎて紅茶を飲んでも全く味がしない。

「今日のイベントどうだった?」

イベント――。

ついさっきの出来事なのにすごく過去の事に感じる。
とても楽しかった時間が蘇る。
今も夢の続きなんだよねと思いながら答えた。

「夢みたいな時間でした」

「ありがとう」

三神さんはニコニコと笑って、色々話しかけてくれる。
喋っていると緊張が解けてきて、気になってた事を聞いてみた。

「今日はここに泊まられるんですか?」

「うん、そうだよ」

そうなんだ……。
同じホテルで眠れるなんて素敵。
嬉しくなって、思わず私の頬も緩んだのだが。

「あーそういえば腹減ったなあ」

イベント前に食べたきりなんだと言われて、

「あ、ごめんなさい!」

私は我に返る。

引き止めちゃった。
もう部屋に戻ろう。
でもその前にやっぱり。

意を決して三神さん、と呼ぶ。

「あの、ご迷惑でなければもう一度握手していただけませんか?」

「へぇ?」

三神さんがいたずらっぽい笑みを私に向ける。

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