アラサーだって夢をみる
「じゃ、行こうか」
何処へ? と聞き返す前に三神さんは歩き出す。
「部屋、行くんだろ?」
部屋って、私の……?
さっさと先を歩く三神さんの後を追う。
廊下の突き当たりでどっち? と聞かれて右に曲がるとすぐ私の部屋だ。
ドアの前で三神さんはここで待ってると言う。
まさか外で待ってもらうわけにもいかないので中へ入ってもらった
ベッドの上に広げたままの写真集を慌てて手に取る。
マジックはキャリーケースの中にあるので、クローゼットを開けて取り出そうとしていると、三神さんが声をかけてきた。
「俺、スタッフも泊まるかと思ってスイートにしちゃってさ」
「一人じゃ広くて落ち着かないから」
はあ、と相槌を打っていると
「食事の後、そのまま居てくれると嬉しいんだけど」
とんでもない事を言われたような気がした。