アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
駐車場の入り口を抜けると広い駐車スペースが見えてきた。
私は内心ほっとしていた。
これ以上一緒にいるのが辛かったから。
でも嬉しかった。
一生忘れない。
二度と会えなくても、ずっと忘れない。
ずっとファンでいる。
これからもずっと。
でも――。
知らなければそれで済んだ事が多すぎて押し潰されそう。
イラストから抜け出たみたいな綺麗な顔も
髪をかきあげる仕草も
優しい微笑みも
長い指も
あたたかい腕の中も
柔らかい唇も
耳に残る吐息も
甘い囁きも
肌の感触も
夢のように蕩ける夜も。
全部、昨日の今頃は知らなかったのに。
涙が溢れそうになるのを必死で堪えて車が停まるのを待った。