アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】


肩をシートに押し付けられたのと、そのシートが倒されたのは同時だった。
狭い車内の天井は三神さんの身体で覆われて殆ど見えない。    


「愛してるって何回言っても」

「やっぱり信じないんだね」


三神さんが私を見下ろしてネクタイを解いている。  

(何……?)

雰囲気が全然違う。

怖い。

危険だという事は察知しているのに、声が出ない。
身体がすくんで、動けない。

「もう会わないつもりだろうけど」

低い声が静かに響く。

「そうはさせない」

解いたネクタイで両手を後ろで括られて、目も口も何か巻かれて。

「飛行機キャンセルしてくるから」

(え?)

どういう事か考えようとしたけど。
ヘッドフォンを掛けられて、そこから流れてきた三神さんの声で思考が止まる。

(何これ)

頭からすっぽり何か掛けられて覆われた後、ドアが閉まった振動を感じた。
一人になったと思った途端、脳が働き出す。

キャンセルって何?
帰らなきゃ。
どうしてこんな事になってるの?
私、何かした?
必死で事態を把握しようと考えてるのに。

ヘッドフォンから流れてくる卑猥な台詞がそれを阻む。

こんな録音いつしたのかと思うような。
三神さんの作品を聴きなれてる私でも聴いていられないような。

調教とかそういう作られた内容じゃなくて。
卑猥な言葉で女をいかせる為だけの台詞。

こんなの聴きたくない。
でも、どうやってもヘッドフォンは外れない。

もっと考えないといけない事があるのに。
三神さんの声が私を滅茶苦茶に犯す。
昨夜の行為と混ざって何も考えられなくなって。

身体が痛いくらい疼いてる。 
熱い液がじわりと沁みだして、濡れてく。

このまま

いつまで

こうしていればいいのか

そんな事もどうでもよくなって。

声で頭の中を直接犯されてるような。
私はそんな感覚に包まれていた。



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