アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】

どれくらい経ったかもわからない。

冷たい手が頬に触れて三神さんが戻った事を知った。

――触らないで

もう、どこを触られても感じるのに。
髪がシートに擦れるだけでも。
口に巻かれていたのが外されて、新鮮な空気に触れただけでも。  

なのに、熱い舌が入ってくる。
思いきり舌を吸い上げられて、目の前が白く、白く染まる。

昨日よりももっと深く舌を入れられて口の中を這い回る。         
溢れた唾液が伝うだけで身震いしてしまう。

――やめて
  そんなキスしないで

ぶるっと震える度に奥から熱いものが流れるのがわかる。  

ヘッドフォンの片側がずらされて

「俺の声、そんなにいいの?」

流れている声と同じ声で囁かれて。  
もう、私はちゃんと呼吸しているのかもわからなくなっていた。   


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