アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】

バスルームはビューバスで、窓の外に夜景が広がっている。

まともに動けない私を運んでくれた三神さんは、当然のように一緒にバスタブに入る。
ちょっと恥かしいんだけど。
抗議する気力もなくて、抱かれたままジャグジーの泡をみつめていた。

「やり過ぎたとは思ってるけど」

少しの間の後、

「謝らないよ」

三神さんはそう言った。
私を抱いている腕に力がこもる。

「俺、本気だからね」

私は頷いた。

「いつもこんなことしてるって思ってるだろ」

また頷くと、あははと明るい笑い声。
バスルームに響く、うっとりするほど大好きな声。

「本当にひとめぼれしたんだよ?」

三神さんは私の頭に顎を埋めて話してくれた。

「ステージから客席ってよく見えるんだよ。
 沙理の事見つけてびっくりしたんだよ。
 ベルにそっくりだと思ってさ。
 目が凄い似てるじゃん。
 凄いドキドキしてさ。

 座ってた場所覚えて、後で誰か調べようと思ってたんだけど
 ラウンジで会って、これは運命なんだと思ったんだ。
 最初から口説こうと思って声かけたんだよ。

 タブレット借りたのも
 絶対に俺の作品が入ってるって思ったからだよ。

 俺、遊びまくってたから、信じてもらえなくても仕方ないんだけど。
 嫌とかやめてなんて言われたの初めてだったんだよ。
 沙理、本気で嫌がっただろ?
 あれで完全に惚れちゃったんだよ」


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