アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
私は流暢な台詞回しに聞き入っていた。
そういうものなのかと納得してしまって、それ以上考える意欲がなくなる。
三神さんの声は私からまともな分別を奪ってしまうんだろうな。
「少しずつでいいから」
「俺を信じて」
「ね?」
頬に唇が触れて、私はもう一度頷いた。
信じるのが怖かった。
本気になるのが怖かった。
一緒にいることが出来ない恋愛なんて無理だから。
そんな情熱もパワーも私にははないから。
だから、自分の気持ちもセーブ出来ると思ったのに。
でももうだめ。
こんなにも三神さんが好きだから。
私、これからどうなっちゃうんだろう。
頭がぼうっとしててまだ考えられないけど。
「それにさ」
三神さんが耳元で囁く。
「ひとめぼれは遺伝子の合図っていうじゃん」
「相性も最高だしね」
背中に這う指と耳にかかる吐息に、またぞくりと身体の奥が震える。
「あーだめだめ」
俺、ほんとだめだと頭を振ってる三神さんが可笑しくて、笑ってしまう。
そんな私に「やっと笑ったね」と言って、素敵な笑顔で抱き締めてくれた。