アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
◇夢のなか

貴方が教えてくれたキス


どんより曇った冬の空と対照的に私の心は軽かった。

(ここ、品川だったんだ)

一昨日泊まったホテルが見える。
嘘みたいに晴れ晴れした気分で外を眺めていると三神さんに手招きされた。 


航空会社のロゴが入った封筒を渡されて中を見ると、昨日と同じ時間発のチケットが入ってる。
それもグレードアップした座席で。

「勝手にキャンセルしたんだから、それくらい当然だろ?」

お礼を言おうとしたら、「あと、これも」とカードを差し出された。
携帯の番号とメアドが記載してある。

「それプライベート用だから。
 仕事中は出れないけど、着信あったら掛けなおすから。
 いつでも掛けてね」

「ありがとうございます」

「沙理のはメールした時にチェックしたから大丈夫だよ」 

「そうですか……」

なんか、もう、なんでも先を越されていて、ため息が出る。     
経験値が全然違うんだよね。
レベル100の百戦錬磨の賢者とレベル1の魔法使いぐらい差があると思うことにしよう。
 

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