アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
滅多にメイクもしない私はすっぴんで出掛けても平気なのだが、今日くらいはお洒落したい。

でもメイクの仕方もわからない私が、自分で髪のセットなんかできるはずがなく、こうして美容室を予約した。

「お客様、目が凄い大きいですから遣り甲斐がありますよー」

綺麗な美容師さんにそう言われて、はあ、と答えながら私は思った。

(アイメイクってどれだけ大変なの……)

メイク道具の多さにびっくりしたが、それを使いこなすこの人が凄すぎる。
マスカラなんかつけた事もない私の瞳は嘘みたいにパッチリと開き、自分じゃないみたいだ。

髪をふんわり巻いてもらうとますます別人のようで、目のやり場に困った。

「普段からメイクされたらいいですよ」

作業を終えた美容師さんが満足そうにニコニコしている。

「男子がほっときませんよ」

いや、私既婚者なんですけどとは言わずにおいた。

予想は出来るが、おそらく若く見られているのだろう。

27才くらいから見た目の成長が止まってしまったのかあまり変わらないのだ。
それまでも実年齢より若く見られ続けていたので、一体いくつと思われているのかと肩をすくめた。

まあ、子育てもせずアニメやマンガどころか声優に夢中なくらいだから、それも仕方ないかもしれない。

年相応に落ち着いた女性に会うと羨ましく思えた。



< 8 / 128 >

この作品をシェア

pagetop