アラサーだって夢をみる
「お前でも女に惚れたりするのかあ」
黙っている三神さんに構わず、私に話しかけてくる。
「沙理ちゃんって言うのかぁ。
東京に住んでる…んじゃないよね、どこから来たの?」
「あ、福岡です」
「へー、今日はどこに泊まるの?」
「俺のマンションだよ」
「へー俺の……ってええええええええええええええええ!?」
さっきよりもっと大きな声で驚いている。
「何だよお前、さっきから!」
「だってお前のマンションに行ったことあるのって俺だけじゃん。
阿部ちゃんでさえ入れないじゃん。
他人がくるの、凄い嫌がるくせに」
「沙理は他人じゃないからいいんだよ」
さらっと言ってのける三神さんをみて世良さんは真面目な顔になった。
「そっか……」
「沙理ちゃん」
声が真剣だった。
「三神をよろしく頼むよ」
こいつ、凄い性格悪いけど、いい奴だから」
「それ褒めてんの?」
うん、と頷いた世良さんは私にウィンクした。
「でも、三神を好きな時間は俺のがずっと長いから覚えといてね」
「こいつ、ゲイだからさ。高校の時からずっと俺が好きなんだって」
ずっと一緒にいて俺もゲイって思われるのイヤだから妻帯者って流してもらってるんだよ」
ああ、なるほどと私は納得した。
「ゲイだけど女も好きだよ」
「寝れれば誰でもいいだけじゃん」
「そうそう、飯よりセックスで生きてるの」
世良さんは手馴れた様子で私に飲み物を渡してくれる。
「沙理ちゃん、いくつ?」
「いくつと思ってんだよ」
「25、6くらいだろ?」
三神さんは「俺とほぼタメだよ」と笑う。
「うっそおおおおぉぉぉ……」
呆然とした世良さんは「沙理ちゃん」と私の好きなキャラの声になった。
「三神なんかやめて俺にしなよ」
「世良!!」
「俺のが三神の100万倍巧いよ?」
三神さんの腕に力がこもる。
「お前沙理の半径1メートル以内に近づくな!」
世良さんにきつく言ったあと、私には優しい。
「あいつ、男女見境なく襲うから側に行ったらダメだよ?」
私は我慢できなくなってくすくす笑いだしてしまった。
「大体、お前呼んだの、こんな話するためじゃねーんだよ!
歌だけ歌ってればいいんだよ。早く歌え」
「あ、ひでぇ! いいじゃん」
「沙理はお前のファンでもあるんだよ! あんまり失望させんな」
「あ、それは……いつも応援ありがとうございます」
急にかしこまって真面目な声で丁寧にお辞儀をされて吹き出してしまった。
あれ、でも、私が世良さんのファンって何で知ってるんだろう?
そこで思い出した。
あのタブレットに世良さんのも入っていたことを。
「そんじゃ歌うか」
「台詞、全部お前な」
「OK」
「では、俺達のデビュー曲、聴いてください」
二人並んでマイク握った瞬間、空気が変わる。
すっごい上手い
めちゃくちゃいい声
そしてものすっっっっごい、かっこいい
素敵過ぎる
なにこの人達
あ、そっかプロか。本物か。
台詞も完璧。当たり前だけど。
持ち歌を一通り歌った後は、私が聴きたい曲を歌ってくれて。
こういうのを夢のような時間っていうんだろうなと足元がふわふわして現実感がないまま時は過ぎていった。
黙っている三神さんに構わず、私に話しかけてくる。
「沙理ちゃんって言うのかぁ。
東京に住んでる…んじゃないよね、どこから来たの?」
「あ、福岡です」
「へー、今日はどこに泊まるの?」
「俺のマンションだよ」
「へー俺の……ってええええええええええええええええ!?」
さっきよりもっと大きな声で驚いている。
「何だよお前、さっきから!」
「だってお前のマンションに行ったことあるのって俺だけじゃん。
阿部ちゃんでさえ入れないじゃん。
他人がくるの、凄い嫌がるくせに」
「沙理は他人じゃないからいいんだよ」
さらっと言ってのける三神さんをみて世良さんは真面目な顔になった。
「そっか……」
「沙理ちゃん」
声が真剣だった。
「三神をよろしく頼むよ」
こいつ、凄い性格悪いけど、いい奴だから」
「それ褒めてんの?」
うん、と頷いた世良さんは私にウィンクした。
「でも、三神を好きな時間は俺のがずっと長いから覚えといてね」
「こいつ、ゲイだからさ。高校の時からずっと俺が好きなんだって」
ずっと一緒にいて俺もゲイって思われるのイヤだから妻帯者って流してもらってるんだよ」
ああ、なるほどと私は納得した。
「ゲイだけど女も好きだよ」
「寝れれば誰でもいいだけじゃん」
「そうそう、飯よりセックスで生きてるの」
世良さんは手馴れた様子で私に飲み物を渡してくれる。
「沙理ちゃん、いくつ?」
「いくつと思ってんだよ」
「25、6くらいだろ?」
三神さんは「俺とほぼタメだよ」と笑う。
「うっそおおおおぉぉぉ……」
呆然とした世良さんは「沙理ちゃん」と私の好きなキャラの声になった。
「三神なんかやめて俺にしなよ」
「世良!!」
「俺のが三神の100万倍巧いよ?」
三神さんの腕に力がこもる。
「お前沙理の半径1メートル以内に近づくな!」
世良さんにきつく言ったあと、私には優しい。
「あいつ、男女見境なく襲うから側に行ったらダメだよ?」
私は我慢できなくなってくすくす笑いだしてしまった。
「大体、お前呼んだの、こんな話するためじゃねーんだよ!
歌だけ歌ってればいいんだよ。早く歌え」
「あ、ひでぇ! いいじゃん」
「沙理はお前のファンでもあるんだよ! あんまり失望させんな」
「あ、それは……いつも応援ありがとうございます」
急にかしこまって真面目な声で丁寧にお辞儀をされて吹き出してしまった。
あれ、でも、私が世良さんのファンって何で知ってるんだろう?
そこで思い出した。
あのタブレットに世良さんのも入っていたことを。
「そんじゃ歌うか」
「台詞、全部お前な」
「OK」
「では、俺達のデビュー曲、聴いてください」
二人並んでマイク握った瞬間、空気が変わる。
すっごい上手い
めちゃくちゃいい声
そしてものすっっっっごい、かっこいい
素敵過ぎる
なにこの人達
あ、そっかプロか。本物か。
台詞も完璧。当たり前だけど。
持ち歌を一通り歌った後は、私が聴きたい曲を歌ってくれて。
こういうのを夢のような時間っていうんだろうなと足元がふわふわして現実感がないまま時は過ぎていった。