アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】

◆Focus on Mikami〜夢のなか◆

手が震える。
冷たいシャワーを浴びながら拳を握りしめた。
触れてしまったら
今の感情をぶつけてしまったら
今度こそ逃げるんじゃないか。
再会してからずっと不安だった。

俺にこんな感情があるなんて知らなかった。

部屋に連れてきたのも世良に会わせたのも
俺がどれだけ沙理を愛してるか、わかって欲しいから。 
   
言っても信じないだろうけど
あの広い会場で沙理だけが見えたんだよ。

嬉しそうに俺を見上げてた。
ベルと同じ瞳で。
あの瞬間、本当に恋してしまったんだよ。
一瞬で人を好きになるなんて自分でも信じられなかったけど。

長い間、ベルだけが俺を癒してくれた。
それと同じ瞳で見つめてくれる。
ベルがいなくなって、ぽっかり空いていた俺の心を埋めてくれる。

きっとベルが出逢わせてくれたんだと。
誰にも言えないけど、そう信じてる。

沙理の笑った顔を思い浮かべるだけで嬉しくなる。
早く会いたくて毎日アピールして。

俺がこんなことを続けるなんて信じられなかった。
世良が驚愕してたのも当然だ。
自分が一番驚いてるんだから。

こんな俺に
本当に会いに来るなんて
何されるかわからないのに。

でも。
沙理はまだ一度も俺を愛してると言ってない。

考え始めるとどんどん不安が増してくる。
いつまでもこうしている訳にもいかず、覚悟を決めてリビングへ戻った。


ドライヤーの風に紛れて触れる沙理の指が優しくて、心地よくて、夢の中にいるようで。
ふと見慣れないギフトボックスに気がついた。
プレゼントだと恥ずかしそうに沙理が言う。

箱を開けて刻印されている文字を見た瞬間、眩暈がした。

  〜 Eternally Yours 〜

こんなことがあるなんて。
愛しさが溢れて止まらない。
言葉にならない。
もう抑えられない。


✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼


もう何回目になるんだこれ
すっかり俺に馴染んでしまってイき続けてる。

ああ、そうか。
沙理が自分の意思で戻ってきたからか。

休ませないといけないのに止められない
 
だめだって
これ以上続けるなって
自分の体なのに言うことを聞かない。



「沙理……?」
   
俺にしがみついていた腕がするりと落ちる。
こんな風に失神させるなんて初めてだ
この俺が。
信じられない。

でもまだ感じてる。
甘い喘ぎと汗ばんだ肌。
濡れたままで俺を包み込んで離さない。

だめだ、俺。

もっと欲しい
もっと
もっと
もっと


このまま壊してしまいたい。

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