恋愛小説のススメ
「で?どうしたの?」



1時間目が終わったあと、案の定夏美に尋ねられた。


「昨日、見ちゃったんだよね。夜。」

「「何を?」」


夏美と未来が声をそろえた。




「優くん、知らない女の子と歩いてた。」



あたしが泣きそうな声で答えると、2人は屋上まであたしの手を引いた。


「2時間目、さぼろっ!あんたの話ゆっくり聞いてあげる。」


この2人はいつもあたしの助けになってくれる。


いつもあたしの支えになってくれる。




屋上に着いて、最初に口を開いたのは未来だった。



「本当に見たの?はっきり見た?見間違ったんじゃないの?」


二人がいつもより真剣にあたしを見る。



「間違いないよ。あたしこの目でちゃんと見たもん。どうしよう……あたし捨てられちゃうのかな……。」

「大丈夫だって、心配ない。あいつがそんなやつじゃないってこと、あんたが一番分かってんでしょ?ちゃんと信じなよ。」




信じる……。


裏切られたらどうしよう……。


捨てられたらどうしよう……。


怖いよ……。




「あたし……ちゃんと優くん信じてるよ?でも……あんなの見たら……どうしようって考えちゃうよ。」
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