恋愛小説のススメ
“あの雲、トマトみたい。あれは逆さからみたらピーマン。きゅうりっぽいのもあっちにあるよ。”


授業を忘れてあたしたちは、変な会話ばっかりした。


おかげで休み時間、呼び出しをくらってこっぴどく怒られた。




その日からあたしたちはよく話すようになって、周りの友達からは、付き合ってるって噂された。


その噂を聞いた彼の一言は、“もう、面倒だし付き合っちゃおうか。”だって。



あまりに率直な告白を受けて、あたしたちはその日からクラス公認のカップルになった。


その後あたしたちは同じ高校に入学し、今に至る。




「楓さん、今日何か用事ある?」

「えっ、特にはないけど。どうしたの?」

「今日、家来ない?見せたい物があるんだ。」



初めての彼からのお誘い。

今まで彼の家へは何度か行ったことあったけど、ほとんどはお母さんに着いて行っただけ。



「いいよ。それより、見せたい物って何?」

「まだ秘密。じゃ、ご飯食べたら家に来てね。」



放課後じゃなくて?


ご飯食べたら?


つまり夜。見せたい物って何だろ。



彼の性格からして、全く想像がつかない。


あたしが鈍感ってのもあるけど、夜まで待ってみないと分からないみたい。
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