恋愛小説のススメ
半ば疑いつつもあたしはご飯を食べ、玄関に向かった。


「あらっ?楓、どこ行くの?」



玄関で靴を履いているとき、キッチンからお母さんが顔を出して尋ねた。


「優くん家。たぶんすぐ帰ってくると思う。」

「あっ、だったらちょうどいいからついでにこれ持ってって。」


お母さんが冷蔵庫の前に置いていたダンボールから、じゃがいもやネギなど、昨日お婆ちゃんから届いた物をあたしに手渡した。



「あっ、今日作った肉じゃがもタッパーに入れてあげようかしら。」


そう言うと、お母さんが棚からタッパーを取り出して夕飯の残りの肉じゃがを詰めだした。



「はい。あとは…お漬物もいるかしら?」

「もういいって。本当おせっかいだから。もう行ってくるよ?」



あたしは野菜と肉じゃがを手に持ち、彼の家に向かった。






ピンポーン


インターホンの音が夜道に静かに響き渡る。



「はい?」


真っ先に出たのはおばさんだった。



「楓です。優くんいますか?」

「あらっ、楓ちゃん?久しぶりね。今開けるわね。」



しばらくして玄関の扉が開いた。


「どうぞ。」



おばさんが笑顔であたしを迎えてくれた。
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