恋愛小説のススメ
「あと少し。」

「ねぇ、見せたいものってな………。」



突然の出来事に、あたしは言葉を失った。




「凄い……見せたいものって、これだったの?」


彼を見ると、ただ目を輝かせて笑っていた。



彼があたしに見せてくれたもの……それは、夜空いっぱいに輝く〈流星群〉でした。




「物置から、父さんの天体望遠鏡探しだしてさぁ、どうしても見せたかったんだよね。楓さんに。」


彼は夜空を見つめながら続けた。



「俺、こんなんだから楓さんの気持ちになかなか気付いてあげれないし、付き合って結構たつのにデートも数えるくらいしかしてないし。本当に楓さんに相応しい男か不安だったんだ。こんなんじゃ、楓さんを幸せに出来ないと思って。」


いつの間にか、夜空の流星群は姿を消していた。



「そんなことないよ。確かにデートは数えるくらいしかしてないかもしれない。メールだって電話だって毎日してるわけじゃないけど。だけど、あたしは優くんのおかげで楽しかったよ。すごく、優くんと一緒にいて幸せだったよ。これからみんなみたいにたくさんデートしたりしたらいいんだよ。」

「楓さんは、それでいいの?」

「何も問題ない!だってあたし、優くんが好きだもん。人には伝わりにくいけど、優くんはいつも優しいよ?あたしは、優くんを嫌いになったりなんかしない。約束する。」
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