桜くんの魔法
「ああ。なんとか類?だっけ。なんで?」
髪をむすんでいたきぃは、ほどきながら言った。
「いや。なんとなく…。」
うそ。
なぜか素直にきぃに言えなかった。
「なによ~」
ニヤニヤしたきぃが顔を覗いてくる。
「良い情報教えてあげよっか?」
まさか…。
あたしの考えていることばれたかな?
「な、なによ。」
「知りたぃ?」
「別に。」
必死に平然を保つ。
「もぉ~素直じゃないなぁ~」
きいはやんまりと微笑んだ。
風が吹く。
その風はきぃの髪をなびかせた。
「あいつ、確か彼女いないよ。」
「え…?」
きぃは低い声で言った。
心の中にで小さな喜びがわいた。
あたしになにがあったのか分からない。
ただ…ひとつだけ分かること。
「頑張ってね、優。」
それは、あたしの恋が始まったこと。