桜と抹茶と、彼。
「柊さんお金持ちなんですから、こんな古くさいとこ来なくても…」
そんなこと言ったけど、
ホントはそう思ってない。
ただ、柊さんが
どう答えるのか気になった
「古くさい?全然古くさくなんかないよ。それくらい歴史があるってことでしょ?
まさか、桜子そんなふうに思ってた…?」
180はある長身を
160…いや155もない私に目線あわせて顔を覗き込む
間近で見ると
やっぱりかっこいいなぁ…
…って
何考えてんの私ッ!!
「そ、そんなこと思ってたらお店なんか手伝いませんよッ」
そう言って
柊さんを押し戻す
柊さんはただ、
よかったー
と一言呟き、
優しい笑顔を私にむけた
「さて。じゃあ、いつもの頼むよ」
そう言って、
いつもの場所に腰掛けた
そこからは
午後の日差しが
ほのかにあたる場所で、
毎日お店に来る柊さんの特等席になっている
私は柊さんの
“いつもの”を持っていく
「はい、抹茶とお菓子です」
「ありがとう」
柊さんは
毎日ここにきて
抹茶とお茶菓子一つを頼む
それが“いつもの”