愛を待つ桜
「あ、いえ……由美さんはご存知ないんだと思います。今が一番楽しいときだし」
「そうね。保育士さんをされてただけあって、子供好きみたい。由美さん自身が5人兄弟なんですって。最低でも3人は欲しいって言ってらしたわ。そうなったらウチもひと安心。匡さん一家がこの家に戻って、ご両親と住んでくださればいいんだもの」
「そうですね。内孫がたくさんできれば、お義父様もお義母様も、そちらに掛かりっきりになりますよね」
「そうそう、できれば静さんも日本に戻って結婚してくれたら。やっぱり、嫁の産んだ孫より、娘の子供のほうが可愛いって言うでしょう?」
ふたりはキッチンで顔を見合わせ、笑った。
お互いに、この家の嫁には相応しくない、と自覚していることもあり、不思議な連帯感だ。
ふたりに比べると、由美の実家は京都の老舗呉服問屋だという。
おっとりした風情だが長女としての責任感は強く、すでに匡を尻に敷いてるようだ。
夏海の場合、しっかりしているように見えて、いざとなったときに末っ子の甘えが出てしまう。
聡に強く言われたら逆らうことができず、従い続けているのが良い証拠だ。
「そうね。保育士さんをされてただけあって、子供好きみたい。由美さん自身が5人兄弟なんですって。最低でも3人は欲しいって言ってらしたわ。そうなったらウチもひと安心。匡さん一家がこの家に戻って、ご両親と住んでくださればいいんだもの」
「そうですね。内孫がたくさんできれば、お義父様もお義母様も、そちらに掛かりっきりになりますよね」
「そうそう、できれば静さんも日本に戻って結婚してくれたら。やっぱり、嫁の産んだ孫より、娘の子供のほうが可愛いって言うでしょう?」
ふたりはキッチンで顔を見合わせ、笑った。
お互いに、この家の嫁には相応しくない、と自覚していることもあり、不思議な連帯感だ。
ふたりに比べると、由美の実家は京都の老舗呉服問屋だという。
おっとりした風情だが長女としての責任感は強く、すでに匡を尻に敷いてるようだ。
夏海の場合、しっかりしているように見えて、いざとなったときに末っ子の甘えが出てしまう。
聡に強く言われたら逆らうことができず、従い続けているのが良い証拠だ。