愛を待つ桜
(4)最悪のすれ違い
日本中が盆休みに入る少し前、匡は仕事で六本木ヒルズを訪れた。
ついでと思い、聡の事務所に顔を出すが……。
幸か不幸か、聡も夏海も留守。仕方なく、ひとりでランチを取ろうとしたとき、匡はヒルズ内で夏海の姿を見つけてしまう。
夏海はこのとき、悠をキッズスクウェアに迎えに行き、一緒にお昼を取っていた。
そこに匡が出くわしたのだ。
「夏海くん……あ、いや、お義姉さんかな?」
兄嫁を見つけ、彼はごく自然な反応でにこやかに声を掛ける。
「常務! あ、失礼しました。副社長ですね」
「いえいえ、義弟ですから、匡と呼び捨てになさってください」
彼はそんな風におどけて答えた。
匡は聡とは全く逆だ。
女性にはとくにフレンドリーで、以前の夏海には、それが軽薄に映り苦手だった。
しかし、取締役でありながら気軽に話せそうな印象が匡の魅力なのだろう。今ならそんな風に納得できる。
ついでと思い、聡の事務所に顔を出すが……。
幸か不幸か、聡も夏海も留守。仕方なく、ひとりでランチを取ろうとしたとき、匡はヒルズ内で夏海の姿を見つけてしまう。
夏海はこのとき、悠をキッズスクウェアに迎えに行き、一緒にお昼を取っていた。
そこに匡が出くわしたのだ。
「夏海くん……あ、いや、お義姉さんかな?」
兄嫁を見つけ、彼はごく自然な反応でにこやかに声を掛ける。
「常務! あ、失礼しました。副社長ですね」
「いえいえ、義弟ですから、匡と呼び捨てになさってください」
彼はそんな風におどけて答えた。
匡は聡とは全く逆だ。
女性にはとくにフレンドリーで、以前の夏海には、それが軽薄に映り苦手だった。
しかし、取締役でありながら気軽に話せそうな印象が匡の魅力なのだろう。今ならそんな風に納得できる。