愛を待つ桜
「デパートの方を呼んで、由美さんと一緒に……と思ってましたのよ。でも、無理をさせてはねぇ。代わりに、週末だけでも夏海さんに手伝っていただきたかったのに」
あかねが言うには、大きなものは揃えてあるが細々したものが足りない、とのこと。
そんな準備を夏海に手伝って欲しかったようだ。
もちろん、孫と一緒に、というあかねの気持ちも充分に判っていた。
それが、産まれてくる赤ん坊と同じ分だけ悠にも揃えてやりたい……そんな思いからだと知り、夏海はあかねの愛情に心から感謝したのだった。
しかし、最後にあかねが口にしたひと言に、夏海の体に緊張が走る。
「ああ、そうだわ。うっかりしてて……聡さんから電話があったのよ。昼過ぎに、日本に戻られたんですって。事務所とマンションに寄ってから、こちらに来るっておっしゃってたわ。遅くなるかも知れないって」
さすがに、あんな乱暴なことは2度としないと思いたい。
いつか聡の誤解も解け、夏海を信じてくれる日が来るかも知れない。
彼の心からの笑顔を取り戻したくて、結婚も承諾したのだ。
言葉にできないまま、夏海は聡を愛し続けてきた。
だが……夏海の心を灯し続けた愛の火は、最大の窮地を迎える。
あかねが言うには、大きなものは揃えてあるが細々したものが足りない、とのこと。
そんな準備を夏海に手伝って欲しかったようだ。
もちろん、孫と一緒に、というあかねの気持ちも充分に判っていた。
それが、産まれてくる赤ん坊と同じ分だけ悠にも揃えてやりたい……そんな思いからだと知り、夏海はあかねの愛情に心から感謝したのだった。
しかし、最後にあかねが口にしたひと言に、夏海の体に緊張が走る。
「ああ、そうだわ。うっかりしてて……聡さんから電話があったのよ。昼過ぎに、日本に戻られたんですって。事務所とマンションに寄ってから、こちらに来るっておっしゃってたわ。遅くなるかも知れないって」
さすがに、あんな乱暴なことは2度としないと思いたい。
いつか聡の誤解も解け、夏海を信じてくれる日が来るかも知れない。
彼の心からの笑顔を取り戻したくて、結婚も承諾したのだ。
言葉にできないまま、夏海は聡を愛し続けてきた。
だが……夏海の心を灯し続けた愛の火は、最大の窮地を迎える。