愛を待つ桜
「兄貴と別れて、その後に妊娠に気が付いたって話だけど。その原因って、やっぱり俺があんなこと言ったせいだよね?」
「もう、そのことは」
「兄貴は責任感が強くて……それに、子供好きなんだ。3年近くも悠くんの傍にいられなくて、悔しいというか、申し訳なさで一杯だと思う。由美を見てても判るけど、子供を産むのって大変だったろ? 夏海さんにそんな苦労をさせたのかって思うと」
申し訳なさそうに俯く匡に、夏海は気になっていたことを尋ねてみた。
「どうして、あんな嘘を?」
「俺ね、婚約者のいる子と付き合ってたんだ。でも色々あって親にバレて、親父に2度と会うなって厳命されてさ。でも、自殺するって言われたら、放っとけないだろ?」
どうやら、社内でお楽しみだった秘書課の先輩方とは別口のようだ。
匡は調子に乗って話し続ける。
「内緒で会ってるのがバレそうになってさ。君だったら親父も何も言わないだろ? 君と会ってたって言っちゃったんだ。それを兄貴が聞いてて」
その女性問題では聡にも迷惑を掛けた。だから、聡にも本当のことが言えなかった、と。
彼はハッキリとは言わないが、夏海との関係を口にできないほど脚色して話していた感がある。
それには夏海も呆れてものが言えなかった。
「もう、そのことは」
「兄貴は責任感が強くて……それに、子供好きなんだ。3年近くも悠くんの傍にいられなくて、悔しいというか、申し訳なさで一杯だと思う。由美を見てても判るけど、子供を産むのって大変だったろ? 夏海さんにそんな苦労をさせたのかって思うと」
申し訳なさそうに俯く匡に、夏海は気になっていたことを尋ねてみた。
「どうして、あんな嘘を?」
「俺ね、婚約者のいる子と付き合ってたんだ。でも色々あって親にバレて、親父に2度と会うなって厳命されてさ。でも、自殺するって言われたら、放っとけないだろ?」
どうやら、社内でお楽しみだった秘書課の先輩方とは別口のようだ。
匡は調子に乗って話し続ける。
「内緒で会ってるのがバレそうになってさ。君だったら親父も何も言わないだろ? 君と会ってたって言っちゃったんだ。それを兄貴が聞いてて」
その女性問題では聡にも迷惑を掛けた。だから、聡にも本当のことが言えなかった、と。
彼はハッキリとは言わないが、夏海との関係を口にできないほど脚色して話していた感がある。
それには夏海も呆れてものが言えなかった。