愛を待つ桜
深夜ということもあって、30分足らずでタクシーは医科大付属病院の救急センターに到着する。
今夜2度目の赤い回転灯を目の辺りにし、聡は最悪の想像に足が竦んだ。
入ってすぐ、如月の姿を見つけた。
彼は処置室の前の廊下で制服警官と話している。それだけでも、今の聡には充分な衝撃だ。
「修! 夏海は……無事、だよな? 生きてるって言ってくれ……頼む、無事だって」
「落ち着け! いいから落ち着けって」
「落ち着けるか! 夏海はどうなんだ!? どこに居るんだ!」
「無事だ。無事だから……命に別状ない。頼むから、冷静になれ」
無事のひと言に、聡は全身の力が抜ける。
そのまま壁際の背もたれのない長椅子に座り込んだ。
警察との話は、ほとんど如月が済ませてくれたらしい。
『病院の先生とも話をさせて貰いましたが、どうやら信号待ちの間に貧血を起こされて、車道に倒れこんだようです。車とも軽い接触のようですし、事件性はなさそうですので、これで失礼します』
今夜2度目の赤い回転灯を目の辺りにし、聡は最悪の想像に足が竦んだ。
入ってすぐ、如月の姿を見つけた。
彼は処置室の前の廊下で制服警官と話している。それだけでも、今の聡には充分な衝撃だ。
「修! 夏海は……無事、だよな? 生きてるって言ってくれ……頼む、無事だって」
「落ち着け! いいから落ち着けって」
「落ち着けるか! 夏海はどうなんだ!? どこに居るんだ!」
「無事だ。無事だから……命に別状ない。頼むから、冷静になれ」
無事のひと言に、聡は全身の力が抜ける。
そのまま壁際の背もたれのない長椅子に座り込んだ。
警察との話は、ほとんど如月が済ませてくれたらしい。
『病院の先生とも話をさせて貰いましたが、どうやら信号待ちの間に貧血を起こされて、車道に倒れこんだようです。車とも軽い接触のようですし、事件性はなさそうですので、これで失礼します』